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   艶話 鶴の恩返し

よひょうが田打ちをしていると、空から一羽の鶴が舞い降りてきました。
飛んではよろめき、よろめいては飛んで、よひょうの田んぼまで来ると、はたりと倒れてしまいました。
みると羽に一本の矢がささっていて、飛ぶにも飛べないようすです。
やさしいよひょうはその矢を抜いてやり、綺麗な水で傷口を洗ってやりました。すると、鶴はどうにか生気を吹きかえしよろよろと舞い上がっていきました。
 ひとたび空に帰ると元気が出たのか、鶴はよひょうの頭の上で何度か廻旋してまるでお礼を言うように一声鳴くと遠くの山に去っていきました。

よひょうが夕暮れになって家に帰ると美しい女が家の前に立っています。
「お帰りなさいませ」
「え?ここはおいらの家だよな?あんた様は」
「いかにもここはあなたのお家です。そして私はあなたの嫁でございます」
わけもわからず、押しかけてきた嫁様ですが、
いく当てもないというのでよひょうはこの女を女房にすることにしました。
女は気立てもよく甲斐甲斐しく働きます。
なにより色白で黒い髪、毎日一緒にいても見とれるほどの別嬪でした。
しかし、よひょうの家は貧しく食べていくのがやっとでしたから嫁様が来たら食料にも事欠く有様です。

あるとき女房がよひょうに言います。
「おまえさま、機場をひとつ建てて下さいませんか」
 確かに貧乏だからといって、機場一つ無いようでは、女房も肩身が狭いというもの。
お人よしのよひょうは何とか工面して機場を建ててやりました。
女房は喜んで、その日から機場に入りましたが
「お前様、私が機場にいるところは絶対に見ないでくださいね。」
と、固く夫に念押ししました。
正直者のよひょうのこと、荿の音が、トントンキー、トントンキーと鳴り続けている間、
よひょうは女房のいうとおり、機場を見ることはありませんでした。
さて七日も過ぎると、女房は機場から出てきて、よひょうに布を渡します。
「お前様、一反織り上げましたから、売ってきてください。」
布は見事なもので驚くほど高値で売れ、たくさんの米も買うことができました。

女房の織物はその後もよく売れて、よひょうの家は次第に裕福になりました。
よひょうはうれしくて女房をますます大事にしました。
しかし7日もあれば一反織り上げる上等な織物。
糸もなくてどうやって織っているのか、さすがに無頓着なよひょうにも気になって仕方ありません。
それに機場から出てきた後のやつれ方が尋常ではないので、心配でたまりません。
見るなといわれている機場でしたが、ある日とうとう我慢できなくなり、そうっと覗いてしまいました。
女房が座っているはずの織機には誰もいません。
「はて?」
トントンキー・・トントンキー・・
音のするほうに目をやるとそこには目を疑うような光景が広がっていました。
なんとそこには群がるように数人の鬼たちがいるのです。
そして鬼たちが取り囲んでいるのはよひょうの女房でした。
大きな赤い鬼が真ん中で太いものを女房に挿入し、リズミカルに腰を動かしています。
トントンキー、トントンキー・・・・荿の音と思っていた大きな音は鬼が褥を揺るがす音だったのです。
他の鬼たちは女房の周りで白い肌を撫でたり摩ったり舐めまわしたりして順番を待っている様子。
女房は唇に笑みさえ浮かべて鬼の動きに合わせるように腰を使っています。
トントンキー、トントンキー・・・・
そうして一人の鬼が果てては次の鬼が、順番に女房に挿入していきます。
床は女房の淫水と鬼たちの放った精液でびしょ濡れです。
女房も喘ぎ声を上げていますが、鬼どもの動きは激しく褥を揺るがす音にかき消されます。
トントンキー、トントンキー・・・・
女房の体も鬼たちの動きに呼応してそれはそれは艶かしく動きます。
トントンキー、トントンキー・・・・
「ひえぇっ!!」
よひょうはあまりのことにその場で腰を抜かしてしまいました。
物音に気づいた女房は交わりを止めて外に出てきました。
「お前様、見てはならぬとあれほど言ったのに。」
「お前は・・・」
「私はあなたに命を助けていただいた鶴の化身です。お前様に恩返しがしたくて
人間の姿を借りました。反物は引き換えに鬼にもらったもので、人間には織れない稀有なものです。
鬼と交わっているところを見られてしまいました。
もうここにいることはできません。さようなら」
そういうと女房は鶴に姿を変え遠くの空へ飛んでゆきました。
鬼どもも姿を消し、残ったのは機織機だけでした。

恩返しにきたのか、鬼と交わりたくて化身となったのか
今となってはわからないよひょうでしたが、
鬼と交わるときの女房の淫らな姿とともに
トントンキー、トントンキー・・・
よひょうの耳から、いつまでもその音が消えることはありませんでした。

           だんだん。

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