2ntブログ

大人のための時代小説

Home > スポンサー広告 > スポンサーサイトHome > HOME: 目次があります > 初仕事其の拾参 闇と雨

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  初仕事其の拾参 闇と雨

佐七は友吉に先立って、弥右衛門の家に侵入していた。
雨音と暗闇が消してくれるはずの気配も、腕の立つ侍には通じないだろう。
佐七は闇の中で侍と対峙した。
弥右衛門の部屋から遠ざけるのが目的だ。
しかしそれを気づかれたら意味はない。
侍の間合いに入らない、ぎりぎりのところに身をおき
佐七は匕首を握った。
侍に刀を抜かせるためだ。
佐七はじりじりと後ずさりしながらあけてあった裏木戸から外に出た。
腕に覚えのある侍は佐七の仕掛けにまんまと乗った。
侍は佐七を追って自らも木戸を出てきた。
侍は刀を抜き中段に構えた。
もはや佐七は背中を見せられない。
気づかれぬように少しずつ後ずさりを続けながら
低く構えて侍の殺気に集中した。
激しい雨音の中息を殺し、佐七は時間を稼いだ。
侍の間合いが佐七を捉えた。
暗闇の中、刀が振り下ろされ佐七の袖を掠めた。
ほんの少しでも明るければ佐七とてひとたまりもなかったろう。
しかし暗闇の中では佐七に一日の長がある。
夜盗は月夜にのこのこ現れたりはしないのだ。
間一髪で逃れた佐七は、真横に飛びながら気配に向かって手裏剣を投げつけた。
二つのうちの一つが太刀にあたる音がした。
侍が次に自分を捉える前に佐七は暗闇に向かって走り始めた。
侍はもう追ってこなかった。
屋敷を離れすぎたことに気づいたのかもしれない。
だがもう遅い。
友吉たちは、仕事を終えたはずだ。

NEXT







江戸の性愛学(タウンムック)

中古価格
¥149から
(2014/4/27 13:41時点)




「他人の奥さんと生でお話しませんか?」国内最大級の人妻専用ライブチャット マダムライブ