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大人のための時代小説

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桃太郎 2

さて、鬼が島に出かける前の晩のこと。
「桃や・・」
「なぁに、おじいさん」
「鬼が島の件じゃが・・・」
おじいさんは、意を決したように桃太郎に告げた。
「おまえ、村を出たら鬼が島に行かずにどこかに逃げてくれ」
「え??」
声を押し殺しておじいさんは続けた。
「鬼退治って言うのはうそなんじゃ。」
「知ってるわ」
「え??」
今度はおじいさんが驚いた。。
「人身御供なんでしょ?」
「なぜ、お前それを・・・」
「村の若い衆に聞いたの。でも私行くよ。だって私が行かなきゃおじいさんたち村八分になるし
私は人身御供って言われて出かけるわけじゃないから、鬼を退治して帰ってきたらいいんだもの。大丈夫よ」
「そんな、お前。相手は鬼だぞ。若い娘が一人でかなうはずはないだろう」
「ちゃんと仲間はいます。それに私は邪気をはらう神の使いでしょ?
鬼に食われたり慰み物にされたりなんかしないわ」
「わしが・・・わしが若かったら・・・」
「心配しないで。それよりおばあさんをお願いね。」
おばあさんは桃太郎が鬼が島に行くという話が決まって以来、部屋に閉じこもって出てこないのだ。

「くれぐれも無理をするな。わしたちは村八分でも一向に構わん、
だが、村で決まったことに逆らうとお前もここでは生きてゆけん。
無事でさえいてくれたらわしたちはいいのだよ」


 桃太郎 3へ続く


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