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大人のための時代小説

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桃太郎 5 

「桃、大丈夫か?」
翌朝、男共が先に目を覚まし、あられもない姿の桃太郎に着物を羽織ってやった。
「う・・・う~ん」
うつろな表情で目を覚ました桃太郎は、自分の体を振り返り慌てた様子で身づくろいする。
「いやぁん~、わたしここで人身御供になっちゃったの??」
「ちがうわぁ!!」
男共がいっせいに声を上げた。
「桃ちゃんが、急に俺たちに遣ってっていって・・・
いや、団子食べて、なんか熱くなって、起って来て・・・」
猿吉に続いて犬伍が答えた。
「そうそう、で桃ちゃんが美味しそうに見えて舐めていたら、
すごい勢いで遣ってって言ったんだよ」
「覚えてないの?」
雉朗が遠慮がちに桃太郎に聞いた。
「・・・・・思い出してきた・・・」
桃太郎の顔が恥ずかしさで赤らんだ。

「強くなるお団子って・・こういう意味かしら??」
「そりゃおかしいだろ。精力強くなっても鬼に勝てないだろうよ
桃はかえって鬼を喜ばすかもしれないけど・・・・」
「いやぁん、そんな~」
「いや、待てよ・・・」
猿吉は突然、横にあった大岩めがけて握り拳を振り下ろした。
すると人の手ではとても割れそうにない岩が木っ端微塵に吹っ飛んだのだ。
「え??」
「やっぱり、強くはなっているようだな」
猿吉が拳を見つめながら言う。
「兄貴はもともと腕っ節が強いからな・・すると俺は・・」
そういって犬伍は周りにあった木の中で最も太そうのものめがけて回し蹴りを入れた。
木はめりめりと音を立てた後、ゆっくりと倒れた。
雉朗は低い姿勢をとったかと思うとまっすぐ上に向かって跳躍した。
一瞬みなの視界から消えたあと、梢で二つ三つ音を立てながらひらりと舞い降りてきた。
「え~~。何みんな、お団子食べて強くなったの?じゃぁわたしは???」
「桃ちゃんも何かやってみなよ」
だが他の三人とは違って、桃太郎には何の変化も現れてはいなかった。
「くすん・・・なんで?男の人だけに効くお団子だったのかしら?」
「団子じゃないだろ」
「?」
「団子を食った後の変化はみな同じようなものだった。
俺たちと桃ちゃんで違うのは・・・」
猿吉が続けた。
「桃を喰ったかどうかだ」
もも7


桃を食った?三人と、食われた桃・・・・。桃にはどんな秘密があるのでしょう
次回 桃太郎出生の秘密が明らかに・・・・
桃太郎 6へ続く