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桃太郎 6

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「おばあさんは、みんなで団子を食べるようにって言ったんだよな?」
「そうよ。仲良く食べなさいねって」
「じゃあこうなることを知っていたんだ」
猿吉は一人で納得しているようだ。
「??猿ちゃん、どういう意味?」
「おばあさんは、媚薬を調合して団子にしたんだ。俺たちと桃が交わるように」
「ええ!?」
これには他の仲間も驚いた。
「おばあさんに聞いてみないと実際のところはわからないけど
俺たちは桃を喰って強くなった・・・違うか?犬伍」
猿吉が犬伍に話をふった。
「うん、おばあさんが媚薬を調合したのは考え付かなかったけど・・・
俺は桃ちゃんと交わって・・・あるいは桃ちゃんの汁を舐めて強くなったんだと思う。」
桃太郎が恥ずかしそうに俯いたがかまわず犬伍が続ける。
「俺、もともと鼻がいいから、たぶん能力上がってすごい敏感になっているんだと思うけど。
今も桃ちゃんから尋常じゃない匂いが感じられる。自分の鼻を信じるなら俺も桃ちゃんが薬だったんじゃないかと」
「わたしが薬なの?」
いつになく神妙に犬伍が話を続けた。
「桃は不老長寿の妙薬って言うだろ?あれって、桃ちゃんそのものなんじゃないのか?」
「俺もそう思うんだ。桃ちゃんが桃から生まれたって話は御伽噺みたいに聞いていたんだけど、
やっぱり本当だったんだな」
小さなころからよく知っている猿吉は感慨深いものがあった。

「あ・・・、そういえば・・」
桃太郎はふと思い出した。
「私が女であることを悟られないように桃太郎って名づけたっておじいさんが言ってた。さらわれるといけないからって」
「大人になるとかくしようがないけどな・・・」
「で、女だと誰にさらわれるんだ?」
「やっぱり鬼か?」
「それって・・・・」
今まで黙って聞いていた雉朗が口を挟んだ。
「ただでさえ強い鬼が桃ちゃんを手に入れたら・・・・」
警戒心の強い雉朗らしい思慮だ。

「そりゃ、やべえな」
「近隣の若い女がさらわれたり、人身御供の話って言うのも桃ちゃんが目的ってこともあるな」
「鬼が島に鬼退治って飛んで火にいる夏の虫ってやつじゃないのか」
  
桃太郎 7へ続きます
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