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桃太郎 8

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「それにしても桃ちゃん、こんなに色っぽかったっけ?」
鬼が島に渡る小舟を漕ぎながら猿吉はまじまじと桃太郎を見た。
「そうそう、さっきの渡しの親父なんか、俺たちが舟を貸してって頼んでも
まったく相手にしなかったのに、桃ちゃんの一声で、鼻の下伸ばして『あ、いいよ~』だって」
雉朗がふてくされる。
「うふっ、まだお団子の効き目あるのかな」
「さぁな、親父には効いたけど、鬼には効くかな~」
「でも・・・」
「ん?何だ、犬伍」
「桃ちゃん、いい匂いが強くなっているみたいだ。鬼に気づかれるんじゃないか?」
「お前こそ、鼻がますますよくなっているんじゃないか?俺たちにはわからないぞ」
「うん。そうかもしれない。島が近づくと鬼の匂いも少しわかる気がしてきた。」
「あ、おれも気配は感じる・・・」
雉朗が頷く。
猿吉は櫂をとめた。
「俺たちが感じるってことは鬼も感じるってことだ」
鬼が島は目の前だった。
「私は正面から行くから、鬼に気づかれたって大丈夫よ」
「桃ちゃん、あの作戦で本当に大丈夫?」
「うん、みんなが守ってくれるから私は平気」
猿吉たちの心配を尻目に桃太郎はにっこり微笑む。
勇気があるのか脳天気なのか、実は猿吉にもわからないのだった。
桃太郎を鬼が島に下ろすと猿吉たちはいったん、舟を引き上げ島を離れた。
鬼たちに警戒されないために。
三人は気配を消しながら島の反対側から鬼が島に上陸した。

一方、桃太郎。
「川上村の桃太郎が参った。門をあけられよ!」
岩窟の城砦に作られた高い門の前で凛とした声を放った。
門がひとりでに開き、坑道が岩窟の奥につながっている。
桃太郎が足を踏み入れると後ろで門が重い音を立ててまたもひとりでに閉まった。
さすがに少し心細くなったが、怯まず坑道を進んでいった。

広間からもれる明かりに向かって歩く。
酒宴のさなかなのか、たいそうなざわめきが聞こえた。
笑い声、嬌声、呻き声・・・
「!!」
広間の入り口に立った桃太郎は息を呑んだ。

桃太郎 9へ続く
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桃太郎がそこで見たものは・・・・
次回桃太郎 9はこちらです