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初仕事其の二 嗜好

早くに妻を亡くした弥右衛門は後添えももらわず独り身を通している。
酒も嗜まなければ、女遊びをするでもない。世間体は仕事一筋の堅物で通っている。
まして下女奉公のおりんには主との接点などはない。
見たところ親方のいうような成り行きは到底あるようには思えなかった。
待つしかないおりんは忙しい下働きをこなしながら、使用人らの話しに耳を欹てた。

数日も経てば、周囲のおりんを見る目がどことなく違うのに気付いた。
ある宵のこと、通りかかった廊下越しにひそひそと話し声が聞こえる。
帳場には手代と番頭しかいない。
「・・・懲りないねぇ。旦那様は」
おりんに気づかず、番頭が手代に話しかけている
「ああいうのは治らないんでやしょう」
手代が答える。
「そうさなぁ。しかし私ならむっちりと色香の匂う年増がいいけどねぇ」
「私ぁ、若いのがいいな。でも、もうちっと尻も大きくなってからのほうがいい」
「そこが旦那様の病気じゃないか。まだ男を知らないようなガキを甚振るのがいいんだろう
色気が滲みだしてからじゃ、誰かに喰われた後だからね。」
「ちがいねぇ。」
「ああ、なかなかの上玉なのにもったいないねぇ。」
「ええ?ただの田舎娘じゃないですかぃ?それにまだガキに毛の生えたようなもんでしょ?」
「お前はまだ女がわかっちゃないね。。
ありゃぁ、あと三年もすりゃいい女になるよ。。まぁ・・・ここに来なけりゃの話だが。」
「へぇぇ、さすが番頭さん。何気によく見てなさる。そいつがもうじき、慰み者になるんだから。
そういやぁ、この前の娘はじきに逃げ出しちまいましたね。」
「ああ、あれは哀れだった。毎夜泣き声がこっちの耳にも届いた。
さすがにちょいと胸が痛んだよ。よほど辛かったと見えて十日も持たなかったねぇ。
結局連れ戻されて飯盛り女だ。今頃は毎晩客をとらされているだろうよ・・・」
「しかし、あの爺さんよりましだってことになっていたりして」
「おっと、言葉がすぎるよ。聞かれたら私たちもただじゃすまないよ。くわばらくわばら」
番頭がそう言って辺りを見回し肩をすくめた。
これはまた穏やかならぬ話を聞いたものだが、おりんには好都合だ。
なるほど、そういうことならじっくり待っていればいいのだ。

空にはほんの少し厚みの出てきた三日月がかかっていた。

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