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大人のための時代小説

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山の神 其の六

その体は、思ったよりも温かかった。
柔らかい肌は、強くつかむと傷つけてしまいそうで、(神が傷つくはずもないが)
弥太郎の無骨な手はおずおずと手加減しながら腰を抱いた。
なにか聖域を侵す様な後ろめたさが弥太郎の気持ちを押しとどめているのだ。
しかし、気持ちとは裏腹に弥太郎のぐちなわはもういきり立って、自分の入るべき入り口を求めていた。
先ほど山の神の指先でねっとりと塗られた樹液が糸を引いて白い肌に垂れた。
樹液の糸に導かれるように、ぐちなわを、白い肌の、そこだけ熟れた木通のように開いている裂け目にあてがう。
槍先をねじ込むように押し付けると、じゅるりとぐちなわの頭が裂け目に飲み込まれていく。
木通の口は大きく押し開かれ、弥太郎を奥深くに迎え入れる。
なんという柔らかさだろう。そして、なんというきつさ。
ぐちなわの腹を、動くこともままならないほど締め上げてくる。
「ううう・・」
思わず歯を食いしばる弥太郎。
しっかりこらえなければすぐにでも持っていかれそうだ。
弥太郎のぐちなわがぎちぎちと襞に食い込んでいる。
後ろ向きの山の神の顔は見えないが白い肩がほんの少しのけぞって見えた。
とろとろと樹液が木通の口から染み出してきた。
見た目の清浄さからはまったく想像もつかないうねうねと肉感に満ちた内側。
その婀娜やかさが、かえって弥太郎を安心させた。
「神さんだけど、女だな・・・」
片足は地面にとらわれ不自由ではあるが、腰を動かすのに障りはない。
弥太郎は大きく息を吐き、ゆっくり腰を使い始めた。
「・・・・・・」
声とも鈴の音ともつかない美しい音色が山の神の口から漏れた。
山の神は弥太郎の腰の動きに合わせ、わずかに尻を突き出してくる。
そのたびに先ほどの匂やかな樹液が滴り落ちる。
「う・・・・んん・・・んんぁ・・」
美しい山の神の声は音色より人間の喘ぎ声に近くなってきた。
その響きは扇情を駆り立てるのに十分だ。
弥太郎はもう、夢中で美しく柔らかい肉を貫き続けた。
先ほどまでも恐怖も忘れて・・・・・
しかし、この情交はほんの序章にしか過ぎなかったのだ。

山の神 その七
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