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初仕事其の五 友吉

おりんはいわば軟禁状態だった。
いつも誰かの目があった。
と言っても、奉公人が逃げ出すと仕置きは主に任されていたし
右も左も知らない街に連れてこられた小娘が身の危険を冒して
そうそう逃げ出すものではなかった。
紐をつけれられているわけでもなく、ずっと見張りがついているわけでもない。
屋敷の中、少なくとも賄仕事の範囲は自由に動けた。
ただし、端女とは言いながら相当の重労働が課せられている。
おりんはその細腕で一人で何杯もの水桶を運んでいた。
水を汲む井戸は小路に面しており
往来からは入り込んでいるので人通りは少ない。
おりんが外と接触できる唯一の場所だ。
旅人姿の友吉が塀の外で周囲に目を配りながら声をかけた。

「守備は?」
「うまくいった。親方の言った通りだった。
すごい、スケベ爺。」
「そうか、その話は仕事が済んでから聞こう。
で、用心棒はいるのか?」
「いる。一人。割と若い侍。」
「ひとりだけか。」
「うん、腕が立つって番頭が言っていたけど
私にはわからない。」
「今夜も行くのか?」
「多分行く。」
「ご執心か?」
「・・・」
おりんがこたえる前に、戸口から人の気配を察して素早く友吉は姿を隠す。
話しているところを誰かに見られたら元も子もない。
おりんは誰もいないことを見定めて塀の外に素早く紙切れを投げた。
友吉が向こう側で何食わぬ顔で拾い上げ、去っていく。

間もなく裏の戸口から女中頭が様子を見に顔を出した。
「おみつ!そこにいるのかい?」
「へえ。今参ります」
重い桶を揺らしながらおりんは釜部屋にもどる。
今夜も助平爺さんの相手が待っているのだ。

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